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プレビュー 2026.08.04 王座戦

王座戦挑決トーナメント決勝 広瀬章人九段戦
― 再びの「勝てば挑戦」

第74期王座戦・挑戦者決定戦 (8/5 藤井聡太六冠 vs 広瀬章人九段) の見どころ。勝てば伊藤匠王座への挑戦権。

王座奪還の道、最後の関門

8月5日。東京・将棋会館において、第74期王座戦の挑戦者決定戦で藤井聡太六冠(24歳)が広瀬章人九段(39歳)と対戦します。

ABEMAの中継は8時50分から。解説は藤井猛九段・門倉啓太六段・杉本和陽六段、聞き手は岩根忍女流三段・武富礼衣女流二段が務めます。日本経済新聞の NIKKEI LIVE でも終日中継があり、16時からは豊川孝弘七段の大盤解説(聞き手は香川愛生女流四段)。将棋会館の棋の音道場では17時から中村太地八段の大盤解説会も開かれます。

勝った方が、伊藤匠王座への挑戦権を得ます。藤井六冠にとっては、前期に手放したタイトルを取り戻すための最後の関門です。

藤井 ― 三つの関門を越えて

藤井六冠はこのトーナメントを、1回戦(5月12日)で斎藤明日斗六段、2回戦(6月26日)で佐藤天彦九段、準決勝(7月24日)で丸山忠久九段と、三局続けて勝ち上がってきました。

準決勝の丸山九段は、それまで藤井が1勝3敗と負け越していた数少ない相手でした。その壁を越えて、決勝までたどり着いています。

広瀬章人 ― タイトル戦登場8回の実力者

迎え撃つ広瀬章人九段は、竜王1期(第31期・2018年度)、王位1期(第51期・2010年度)を持つ実力者です。タイトル戦の登場は通算8回。2022年には竜王戦七番勝負で藤井に挑み、4勝2敗で退けられたものの、第1局と第5局で白星を挙げています。

今期は1回戦(5月14日)で久保利明九段、2回戦(6月3日)で青嶋未来五段、そして準決勝(7月6日)では羽生善治九段を破って決勝に進みました。

六年前の「勝てば挑戦」― 頓死の記憶

この顔合わせで思い出さずにいられないのが、2019年11月19日の王将戦挑戦者決定リーグ最終戦です。

当時17歳の藤井七段は、勝てば17歳5か月での最年少タイトル挑戦。屋敷伸之九段が持つ17歳10か月の記録を更新する大一番でした。相手が、竜王位にあった広瀬九段です。

10時に始まった対局は二転三転の末、終盤は藤井が勝勢を築きます。誰もが最年少挑戦を意識したその局面から、王手への受けを誤り、まさかの頓死。126手で広瀬竜王の逆転勝ちとなり、広瀬九段はそのまま初の王将挑戦へ進みました。

勝てば挑戦の一局を、この相手に持っていかれた——。あれから六年八か月。明日もまた、勝った方が挑戦者になる一局です。

通算成績は藤井の12勝4敗

両者の対戦成績は、藤井の12勝4敗です。

黒星4つの内訳は、2019年のその王将戦挑決リーグ、2022年の竜王戦第1局と第5局、そして2024年11月のJT杯。直近の対戦は2024年12月3日の銀河戦決勝トーナメントで、これは藤井が制しています。顔を合わせるのは、それ以来1年8か月ぶりです。

その間に広瀬九段は九段に昇段し(2023年11月)、藤井は王座を失いました。

最もつまずきやすいタイトルで

藤井六冠にとって王座戦は、通算33戦24勝9敗(勝率.727)。八つのタイトル戦のうち、最も勝率の低い棋戦です。前期(第73期)には五番勝負で伊藤匠に2勝3敗と敗れ、王座を明け渡しました。

失冠した棋戦で、六年前に「勝てば挑戦」を持っていかれた相手と、もう一度挑戦権を懸けて戦う。24歳の六冠が、17歳の日の忘れ物を取りに行く一局です。