藤井聡太データラボ 対局を、記録する。数字で読む。
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振り返り 2026.10.11 竜王戦 七番勝負

102手の居玉
― 竜王戦第1局、玉が動いたのは終局10手前

第39期竜王戦 第1局 (10/9-10 セルリアンタワー能楽堂) を振り返ります。藤井聡太竜王が113手で先勝。玉を動かしたのは103手目の一度だけでした。

能楽堂で先勝

10月9日から10日、東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂でおこなわれた第39期竜王戦七番勝負・第1局。 藤井聡太竜王が服部慎一郎七段に113手で勝ち、シリーズを1勝0敗で始めました。

終局は10日の18時48分。 振り駒で先手になった藤井竜王が、6連覇への一歩目を踏み出しました。

この一局で藤井竜王が玉を動かしたのは、103手目の一度だけです。 102手のあいだ、玉は初めの位置にいました。

動かない玉

戦型は相掛かりです。 服部七段は6手目に銀を上がって角換わりを避け、力戦に誘いました。 22手目には「取ってこい」と歩を突き出し、藤井竜王は応じて歩を2枚得します。

その代わり、飛車先を受ける形が課題になりました。 藤井竜王は39手目に銀を上げ、金と銀で左辺を固めます。 ABEMAの解説を務めた深浦康市九段は、「先手は銀冠に組めたことが大きい」と評しました。 藤井竜王も終局後、「封じ手のあたりはこちらが銀冠に組むことができて主張が通せたところはあるかなと感じていた」と話しています。 服部七段は「銀冠に組まれてしまったので」と、このあたりで「ちょっと自信のない展開なのかなと思っていました」(いずれも読売新聞 竜王戦中継ブログ・局後の一問一答)。

ただ、玉はその銀冠に入りませんでした。 初めの位置に据えたまま、右にも左にも動きません。

1日目は44手目、服部七段が24分使って桂を跳ねる手を封じました。 二日制も封じ手も初めての挑戦者です。 立会人の森内俊之九段に促されると「はい、封じます」と即答。 封筒の裏に名前を書いて丸で囲む仕上げは、森内九段に教わりながら整えました(スポニチアネックス)。

2日目の朝、その封筒を開けた森内九段は、四つ折りの用紙が奥にあって「封じ手が入っていないかも」と一瞬慌てたそうです(読売新聞 竜王戦中継ブログ)。 初めての封じ手は、立会人にも小さなドラマを残しました。 服部七段は初めての二日制を「結果はついてこなかったんですけど、楽しい時間だったのかなと思っています」と振り返っています。

端に出た角

2日目の再開後、藤井竜王は角を一度引いてから、57手目に▲9七角と端へ出しました。 立会人の森内俊之九段は「柔軟な発想で、後手は玉を囲いたいのですが、間に合わないです」と語っています(読売新聞 竜王戦中継ブログ)。

囲いたい後手と、囲わない先手。 服部七段は7筋から動き、桂を跳ねて飛車を前に出します。 藤井竜王が歩を打って受けると、服部七段も歩を打ち返しました。 渡辺明九段は「後手としては打ちたくない歩だが辛抱した」と評しています(同)。

藤井竜王は桂を打ち、7筋で駒を交換して、端の角が働く形に整えます。 服部七段は桂を打って耐えました。 近藤誠也八段は「いい辛抱です。崩れずに食らいついています」と話しています(同)。

急所の一手

92手目に服部七段が歩を打ったところで、藤井竜王は4分で▲5三銀と打ちました。 森内九段は「後手に見損じがあったかもしれません。決定的な手で、服部七段にとって痛すぎます」と語りました(同)。 服部七段自身も終局後、「最後ポッキリという感じで」、この手を「軽視してしまっていて、そこは悔やまれる」と振り返りました(読売新聞 竜王戦中継ブログ・局後の一問一答)。

銀が成り込んで角を取り、銀冠の銀も前に出て桂に迫ります。 玉は、まだ動きません。

終局10手前、玉が動く

102手目、服部七段が銀を打って王手をかけました。 この一局で先手玉にかかった、最初の王手です。

藤井竜王は玉を右へひとつ寄せました。 103手目。終局の10手前に、初めて玉が動きました。

そして▲4二角成。 57手目に端へ出た角が、52手あとに成って決めました。 王手を重ねて追い詰め、飛車を成ったところで服部七段が投了しました。

消費時間は藤井竜王が7時間48分、服部七段が7時間59分。 服部七段は持ち時間を使い切り、最後は1分将棋でした。

第2局は10月22日・23日、静岡県三島市の三嶋大社です。 動かない玉で一歩目を踏み出した藤井竜王が、三島で二歩目を狙います。

参考 · Reference 自前解析の評価値推移
Eval · 先手視点
先手 + 後手 − 57手 93手 103手
  • 57手目 — 端に出た 9七角
  • 93手目 — 急所の 5三銀打
  • 103手目 — 初めて玉が動いた
解析条件
エンジン
水匠5
探索深さ
18
1手上限
20秒
最大変動
711cp
形勢逆転
0回
解析手数
113手

評価値は当サイトの自前解析(水匠5(YaneuraOu NNUE 9.41git 64AVX512 TOURNAMENT)/探索深さ18/1手上限20秒)。あくまで参考値で、実戦の最善を保証するものではありません。棋譜・指し手は掲載していません。